みなさんはキタダケソウを見たことがありますか?
キタダケソウは、その名の通り南アルプスの北岳(標高3,193m)に咲く花です。
昭和6年に北岳で発見されて以降、他地域では見つかっていない特産種であり、絶滅危惧種に指定されています。
そんな珍しい高山植物を見てみたいと思いませんか?

名前は聞いたことあるけど、写真で見れば十分かな

写真で見るのと実際に見るのとでは、感動の度合いが全く違います。
これは実際に見た私もそうでした。
キタダケソウに出会った時は、嬉しくて時間を忘れて写真を撮っていました。

北岳って日帰りじゃ難しいわよね。体力的にちょっと。。

体力的に1泊2日が厳しい場合は、2泊3日にすることでぐんと日程が楽になります。
時間に余裕ができますのでゆっくりキタダケソウを楽しむことができ、北岳稜線からの眺めも存分に楽しむことができますよ!
私は登山歴10年で山梨県在住。日本アルプスや尾瀬など花がたくさん咲くところへも足繁く通う、写真好きゆるハイカーです。以前、キタダケソウを見に1泊2日で北岳に登山した経験があります。

花との出会いは一期一会です。
今年咲いた花が来年も同じように咲くとは限りません。
自分が行ける時に旬の花を見ることが登山の醍醐味だと私は思います。
この記事では、キタダケソウ登山の情報を紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
キタダケソウってどんな花?
キタダケソウ(学名:Callianthemum miyabeanum)はキンポウゲ科の多年草。白い花びらに黄色い雄しべが映える、可憐で凛とした姿が特徴的です。

昭和6年に清水基夫氏が北岳で発見した新種で、昭和9年にキタダケソウと名付けられました。この花の最大の特徴は「北岳周辺のごく限られた場所にしか咲かない」ということです。標高約2,800〜3,000mの過酷な環境に順応した、日本固有の高山植物です。残雪が消えた6月中旬〜下旬、北岳南東斜面に咲きます。2週間ほどしか花を咲かせないため、出会える確率はまさに一期一会といえます。
その貴重さゆえ、環境省のレッドデータブックの絶滅危惧Ⅱ類にも指定されています。
登山ルートとアクセス
おすすめルート
今回おすすめするのは、登山口である広河原から北岳山頂を目指すルートです。
【1日目】広河原 ー 白根御池小屋 ー 北岳肩ノ小屋(泊) 標準コースタイム:5時間15分
【2日目】北岳肩ノ小屋 ー 北岳頂上 ー【キタダケソウ散策】ー 北岳山荘(休憩) ー
北岳 ー 北岳肩ノ小屋 ー 白根御池小屋 ー 広河原 標準コースタイム:8時間00分
1日目はただひたすら登ります。北岳肩ノ小屋で宿泊、2日目は北岳山頂でご来光を見たあと、北岳南東斜面でキタダケソウ鑑賞です。たっぷり鑑賞したら帰路へ着きます。



体力に自信のない方は2泊3日の行程をおすすめします。2泊3日の場合、白根御池小屋で1泊目、肩ノ小屋か北岳山荘で2泊目となります。

広河原までのアクセス

北岳の登山口である広河原へは規制のためマイカーの乗り入れはできません。バスかタクシーで行くことになります。広河原行きバスは、甲府駅・芦安・奈良田から発着しています。最新のバス時刻表は山梨交通ホームページでご確認ください。
※北沢峠〜広河原の通行(歩行含む)はできません。(2024年現在)

【行き】甲府駅・芦安→広河原
JR甲府駅 発 | 竜王駐車場 | 桃の木温泉 | 芦安駐車場 | 夜叉神峠登山口 | 広河原 着 |
— | — | — | 5:15 | 5:32 | 6:13 |
9:05 | 9:20 | 9:56 | 10:00 | 10:17 | 10:58 |
10:05 | 10:20 | 10:56 | 11:00 | 11:17 | 11:58 |
12:05 | 12:20 | 12:56 | 13:00 | 13:17 | 13:58 |
【帰り】広河原→甲府駅・芦安
広河原 発 | 夜叉神峠登山口 | 芦安駐車場 | 桃の木温泉 | 竜王駐車場 | JR甲府駅 着 |
10:00 | 10:41 | 11:00 | 11:04 | 11:38 | 11:55 |
12:00 | 12:41 | 13:00 | → | 13:38 | 13:58 |
14:00 | 14:41 | 15:00 | 15:04 | 15:38 | 15:58 |
16:40 | 17:21 | 17:40 | → | 18:13 | 18:30 |
【行き】奈良田→広河原
奈良田駐車場 発 | 奈良田 | 第一発電所 | 野呂川発電所 | あるき沢橋 | 広河原 着 |
8:40 | 8:41 | 8:46 | 9:07 | 9:13 | 9:25 |
15:30 | 15:31 | 15:36 | 15:57 | 16:03 | 16:15 |
【帰り】広河原→奈良田
広河原 発 | あるき沢橋 | 野呂川発電所 | 第一発電所 | 奈良田 | 奈良田駐車場 着 |
7:00 | 7:12 | 7:18 | 7:39 | 7:44 | 7:45 |
14:30 | 14:42 | 14:48 | 15:09 | 15:03 | 15:15 |
※最新のバス時刻表は山梨交通ホームページでご確認ください
キタダケソウ鑑賞のポイント
キタダケソウ開花時期と主な場所
キタダケソウが見られるのは、6月中旬〜下旬。たった2週間ほどしか咲きません。天候などによって若干時期がずれることがありますので、最新の開花状況はSNSなどを参考にされると良いと思います。「キタダケソウ 2025 開花状況」など検索してみてください。
場所は北岳山頂周辺から南東稜線に咲きます。小さな花なので、うっかり見逃しそうになりますが、雪渓の縁や風の当たらない斜面をよく見ると、ポツンと咲いています。私が行った時にはイワベンケイやミヤマキンバイ、道中にはイワカガミやヤマオダマキなど他の高山植物も咲き乱れ、お花畑状態です。




よく似た花たち
キタダケソウは白い花びらに黄色い雄しべが特徴ですが、同じような花がこの時期に咲いています。
「ハクサンイチゲ」と「チョウノスケソウ」です。



葉っぱで見分けることができます。
ハクサンイチゲの葉は、細長く尖っている。
チョウノスケソウの葉は、小判形でツヤツヤしている。
キタダケソウの葉は、細かく詰まってて全体に丸みを帯びている。



他にも、ハクサンイチゲの茎や葉は毛がたくさん生えていますが、キタダケソウはツルツル。といった見分け方があります。
その他の注意点
キタダケソウが咲く時期は梅雨の真っ只中です。登山装備にはレインウエアを欠かさないでください。晴れた日でも標高3000mの高地ですので、ダウンやアクティブインサレーション、シェルなど風除けの対策を忘れずにしてください。万全の装備でキタダケソウ鑑賞を楽しみましょう。
キタダケソウ保護と鑑賞マナー
キタダケソウは非常装備にデリケートな植物で、人の踏み込みによる踏圧や、気候変動によっても簡単に影響を受けてしまいます。

登山道を外れての接近や、無理な写真撮影は絶対にNG。望遠レンズやズーム機能を使って、離れたところからそっと観察するのがマナーです。
私たち登山者がこの花と出会い続けるためにも、ひとりひとりが意識を持ちたいですね。
まとめ
花との出会いは一期一会です。
場所や季節、気候、天気など条件がどれかひとつ違っても同じ花と再び出会うことはありません。
キタダケソウも同じく、二度と同じものに出会うことはないでしょう。
しかもキタダケソウは絶滅危惧種。何年かすると会うことができなくなる可能性もあります。(そうなって欲しくはありませんが)
行ける時に行く。
見れる時に見る。
会える時に会いに行く。
今年こそキタダケソウ登山に行ってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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