こんにちは、あっくんです!
今回は、10月下旬の上信越を舞台にした紅葉登山です。
長野県の名峰「戸隠山」と「日本百名山・高妻山」を、秋晴れの空のもと日帰り縦走してきました。
岩稜の名峰・戸隠山は、古くから修験道の山として知られ、険しい岩壁とスリル満点の鎖場が続く山。中でも有名な「蟻の塔渡り」は、足元がすっぱり切れ落ちた岩稜を渡る人気の難所です。

一方の高妻山は、2,353mの堂々とした独立峰で、その美しい山容から「日本百名山」に選ばれています。アップダウンの多い長い登りが続きますが、山頂に立つと妙高山や北アルプスを一望でき、まさに登り切った者だけが味わえる絶景が待っています。

訪れたこの日は紅葉のピーク。黄金色のブナ林と真っ赤なカエデが稜線を彩り、澄みきった秋空に映える光景は息をのむほどでした。スリル、達成感、そして季節の美しさが凝縮された、上信越らしい山旅となりました。

この記事では、そんな戸隠山〜高妻山の縦走記録を中心に、コース概要やアクセス情報もあわせて紹介します。これから登ってみたい方の参考になればうれしいです。
戸隠山・高妻山とは?
戸隠山(標高1,904m・日本二百名山)は、岩峰が連なる険しい山容と、修験道の歴史で知られる信仰の山です。

登山道には鎖場や細い岩稜が続き、中でも「蟻の塔渡り」は名物スポット。バランスを取りながら渡る緊張感は、まさに“スリル登山”の代表といえるでしょう。晴れた日には北アルプスから志賀高原方面までの絶景が広がり、紅葉の時期は特に人気が高まります。
一方の高妻山(標高2,353m)は、堂々とした独立峰で、その美しい山容から「日本百名山」に選ばれています。登りは長く、アップダウンも多いですが、山頂からの展望は抜群。戸隠山をはじめ、妙高山、火打山、北アルプスの名峰群を一望できます。秋にはブナやダケカンバの森が鮮やかに色づき、静かな山頂で見る紅葉は格別です。

険しさと荘厳さを併せ持つ戸隠山、そして長く険しい道のりの先に感動が待つ高妻山。ふたつの山は、まさに「挑戦」と「癒し」が共存する信州を代表する名峰です。
コース概要・登山口アクセス
ルート概要
今回は戸隠神社奥社からスタートし、高妻山へ縦走するコースを選びました。

車は2台。まず1台を下山口となる「高妻山登山口(戸隠キャンプ場近く)」の無料駐車場にデポし、もう1台で戸隠神社奥社駐車場へ移動しました。ここが登山のスタート地点です。
戸隠山からは鎖場と岩稜を越えながら稜線を進み、八方睨(はっぽうにらみ)を経て一不動を通過。そこからさらにアップダウンを繰り返し、高妻山の山頂を目指します。
行程は長く、全体でおよそ10時間前後。途中の岩場では慎重な行動が必要ですが、稜線からの展望と紅葉の美しさはその苦労を忘れさせてくれます。
高妻山山頂を踏んだあとは六弥勒まで戻り、弥勒尾根方面へ。分岐の「五地蔵山」からはブナ林を抜ける穏やかな道となり、戸隠牧場を通って無事デポした車のある駐車場へと下山しました。
長時間行動になりますが、戸隠山と高妻山の二座を一度に歩けるこのルートは、まさに「信州の岩稜縦走コース」の代表格です。
戸隠山の岩稜帯と、高妻山のアップダウンが組み合わさったルートで、体力・集中力ともに問われます。
それでも、紅葉に染まる稜線や、山頂から望む妙高連峰・北アルプスの絶景は、苦労を忘れさせてくれるほどのご褒美でした。
【往路】戸隠神社奥社 → 八方睨 → 戸隠山 → 九頭龍山 → 一不動避難小屋 → 五地蔵山 → 高妻山
【復路】高妻山 → 六弥勒 → 弥勒新道 → 戸隠牧場 → 高妻山登山者無料駐車場
- 行動時間: 約10〜11時間(戸隠山〜高妻山の縦走往復)
- 距離: 約14km
- 累積標高差: 約1,800m
- 体力度: ★★★★★(上級者向け)
- 危険度: ★★★★☆(蟻の塔渡りなど鎖場多数)
- 装備の目安: ヘルメット必携、岩場慣れした人向け
駐車場へのアクセス
戸隠神社奥社駐車場
・上信越自動車道・長野ICから県道35号・36号ほか 約55分(33.5km)
・🅿️駐車台数:約100台
・駐車料金:800円
・トイレあり
・登山口まですぐ
高妻山登山者無料駐車場
・上信越自動車道・長野ICから県道35号・36号ほか 約1時間(35km)
・🅿️駐車台数:約50台
・駐車料金:無料
・トイレあり
JR長野駅から、アルピコ交通バス【観光特急戸隠線】で1時間
1日9便 片道2000円
【登山日記】戸隠山〜高妻山
登山スタート・戸隠神社奥社へ
登山は戸隠神社奥社の駐車場からスタートです。


早朝の境内は静かで、澄んだ空気の中を歩きはじめます。
参道である杉並木はしっかりと整備されており、登山前のウォーミングアップにちょうどいい区間です。


戸隠神社奥社に到着して参拝した後、社務所の裏側にある登山口へ。


登山届のポストと「蟻の塔渡りでの事故に注意!」の貼り紙が。それもそのはず、蟻の塔渡りでは今年も滑落事故が起きており興味本位での登山は遠慮するようにと広く呼びかけられています。
気を引き締めて、ここから一気に標高を上げていく本格的な山歩きが始まります。
最初は土と岩が混じる一般的な登山道で、序盤は比較的歩きやすい印象。
「いよいよ始まったな」という高揚感を感じながら進んでいきます。

岩稜の世界へ──鎖場と蟻の塔渡り
しばらく登ると、戸隠らしい岩稜帯が姿を見せはじめます。
見上げると青空に戸隠山のギザギザの尾根。山肌は黄色や赤の紅葉で彩られています。



ここから先は鎖と岩場の連続で、慎重さと集中力が求められる区間。




たくさんの鎖場を越えてたどり着いた「蟻の塔渡り」は、幅50センチの尾根の上を渡る難所。
両側は切れ落ちており、短い距離ながら緊張感はかなりのものです。




しかし、しっかり落ち着いて進めば問題なし。スリルを味わえる難所です!
八方睨から戸隠山山頂、そして五地蔵山へ
鎖場を抜けて「八方睨」に立つと、一気に視界が開けます。


周囲の景色が開ける場面が増え、稜線に乗ったんだなと実感しました。
ここから少し進んだ先に戸隠山(1,904m)の山頂があり、小さな祠が建つ静かなピークに到着。
振り返ると、今まで歩いてきた岩場のルートがよく見え、「ここまで来たぞ」という達成感が湧いてきます。



山頂から先は、雰囲気が変わって落ち着いた稜線歩きに。
しかし落ち着いたとは言っても岩場のアップダウンには変わりありません。


いったん下ってから「九頭龍山」へ登り返し、さらに進むと一不動避難小屋に着きます。
ベンチもあり、ザックをおろして休憩するのにちょうどよい場所で、ここで昼食をとりました。

休んだあとは、再びアップダウンを繰り返しながら五地蔵山へ。


この「一不動」から高妻山山頂にある「十阿弥陀」まで、石祠が祀られています。
二釈迦、三文殊、四普賢、そして五地蔵。
高妻山のピラミッド型のピークがしっかり見え、「あそこまで行くのか」と気持ちが引き締まります。

高妻山アタック──長い登りを越えて山頂へ
五地蔵山に着くと、いったん体力を立て直すタイミング。
ここまで来れば、いよいよ後半戦に入るのを実感しました。
五地蔵山から先は、いよいよ高妻山の本気区間。
六弥勒、ここは下山に使う予定の弥勒尾根の分岐点です。

ここから山頂までの道のりは、とにかく“長い”の一言に尽きます。
標高差こそ大きくないものの、小刻みなアップダウンと斜度のある登りが続き、疲労がじわじわ溜まっていきました。雲ひとつない天気のおかげで妙高山や火打山をしっかり見ることができました。



七薬師、八観音、九勢至。ポイントとなる祠を過ぎていきます。

歩くほどに高妻山のピークが近づいてくるのが見え、「もうひと踏ん張り」という気持ちに。
足を前に運びながら、黙々と登りに集中する時間が続きます。

やがて急登を終えると、十阿弥陀の祠。

さらに平坦な岩場を行くと、高妻山の山頂(2,353m)が姿を見せました。

山頂スペースには三角点と高妻山の標柱があり、周囲の山々がぐるりと見渡せます。


戸隠からここまで歩き通せた達成感はひとしおで、しばらくザックを降ろして深呼吸。
長いコースの締めくくりとして、静かで落ち着いた山頂時間を過ごしました。
長い下山──弥勒尾根(弥勒新道)から戸隠牧場へ
高妻山の山頂でひと息ついたら、下山は 弥勒尾根(弥勒新道)へ。

こちらは登り返しがほとんどなく、一本道を下るルート。
距離は長いものの、迷うポイントは少なく、集中して淡々と歩ける印象です。
急な土の道が続くため、最初は足元に注意しながら慎重に下りていきます。


中盤にかけて尾根が広くなり、歩きやすい道が続きます。
弥勒尾根は全体的に整備が行き届いていて、落ち着いて歩けるのがありがたいところ。
途中で少し立ち止まり、水分補給をしながら脚をほぐして先へ進みました。

やがて斜度がゆるくなり、林道のような雰囲気の道に変わってくるとゴールはもうすぐ。


最後は高妻山無料駐車場へ向けて牧場脇を進みます。朝に置いておいた車が見えた瞬間、長い縦走の終わりを実感しました。
戸隠山の岩稜と鎖場、高妻山までの稜線歩き、そしてロングコースの下山。
コンディションも必要な体力も高い一日だったけれど、その分だけ達成感は大きく、「歩き切った!」という満足感が残りました。
注意点(安全に歩くために知っておきたいこと)
戸隠山〜高妻山の縦走は、景色・山容ともに素晴らしい反面、難所が多く長時間歩行になるタフなコースです。
実際に歩いて感じた「ここは押さえておきたい」というポイントをまとめました。
① 岩稜帯(鎖場・蟻の塔渡り)は高度感あり。無理は禁物
戸隠山側は序盤から岩場が続きます。
特に 蟻の塔渡り は細い尾根の通過で、風が強い日や濡れた日は滑りやすくリスクが上がります。
- 三点支持を徹底
- ヘルメット・グローブは必須
- 高度感が苦手な人は要検討
- 悪天候の日はルート変更も視野に
この区間を安全に越えられるかどうかが、縦走の可否を大きく左右します。

② 全体的にコースタイムが長い。体力に余裕をもって計画を
戸隠山〜高妻山はアップダウンの連続で、数字以上に体力を使います。
- 日帰りでも 9〜10時間前後 を見ておく
- 行動食・水分は余裕を持って
- 朝は早いスタートが必須
「高妻山はただただ長い」という言葉どおり、精神的にも体力的にも消耗します。

③ 水場がないため、スタート時に必要量を持つこと
このルートには水場はありません。
- 目安は1.5〜2L(季節により調整)
- スポーツドリンク系を半分入れておくと安心
途中で補給できないため、事前の準備がとても大切です。
④ 高妻山からの下山(弥勒尾根)は長い下りで脚痛注意
弥勒新道は危険箇所こそ少ないですが、長い下りで脚に疲労が溜まりやすいです。
- つま先の痛み防止と靴紐チェック
- ストックがあると膝の負担軽減
- ペースを上げすぎず淡々と
- 膝に負担がかかる乱暴な降り方は控える
最後まで集中を切らさず安全第一で。

⑤ 戸隠〜高妻間はエスケープルートがほぼない
縦走に入ると引き返す以外の選択肢がほとんどありません。
- 天候の変化に注意
- 迷ったら無理せず早めに撤退
- 単独なら特に無理は禁物
“進む or 戻る”の判断が遅れるとリスクが一気に高まるコースです。

⑥晴天でも気象条件が変わりやすい山域
特に戸隠山周辺はガスが発生しやすく、稜線では風が強まることも。
- レインウェア・防寒着は必携
- 地図アプリ+紙地図の併用
- 早出早着の徹底
高妻山山頂が雲に隠れやすいのも特徴です。

まとめ
戸隠山〜高妻山の縦走は、岩稜帯のスリルとロングコースの歩きごたえが一度に味わえる、とても充実した山行でした。
戸隠山の鎖場や「蟻の塔渡り」は緊張感のある人気区間で、高妻山に向かう稜線では静かな山歩きを堪能できます。
二座をつなぐルートは体力を使うものの、歩き終えたときの満足度が非常に高く、達成感の大きいコースだと感じました。

全体的にアップダウンが多く、長時間の行動になるため、早めのスタートと余裕のある計画がとても重要です。
岩場の通過に慣れていて、ロングコースも問題なく歩ける方なら、きっと忘れられない一日になると思います。

この記事が今後の山行の一助になればうれしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
⬇️【日本百名山】金峰山・御嶽古道ルート|静かな古道を歩く登山記録
⬇️【山梨百名山まとめ】全100座の一覧と特徴|エリアごとの解説
⬇️日本アルプス・紅葉見頃カレンダー:紅葉登山の参考にしてくださいね!
⬇️日本アルプス・山小屋まとめ:営業期間は必ず確認してくださいね!
⬇️涸沢カール紅葉登山:一度は見たい!涸沢の紅葉と奥穂高岳
⬇️【山梨百名山】笊ヶ岳・1泊2日テント泊|老平から挑んだ体力限界の登山記録
⬇️雲取山・飛龍山テント泊縦走:紅葉とご来光を楽しむ
⬇️富士山日帰り登山完全レポ:2025年の富士登山です!(プリンスルート〜大砂走り)










コメント