「水はたっぷり持ってきたのに、なぜか後半バテてしまった」
夏山で、こんな経験はありませんか?
私自身も登山を始めた頃、真夏の低山で同じ失敗をしました。
ザックには水が2L。それなのに、下山の頃には足が上がらず、頭もぼんやり。
水はまだ半分以上残っていたのに、です。

あとから知ったのですが、夏山でバテる原因は水分不足だけではありません。
汗と一緒に塩分が失われ、長時間歩くことでエネルギーも切れていきます。
夏山の補給は「水分・塩分・糖質」の3点セットで考える。
これがバテないための出発点です。
この記事では、夏山登山に必要な水分量の目安、塩分補給の考え方、行動食の選び方を、4〜5時間の山行を例にしながら紹介します。
- 4〜5時間の夏山なら、水分は1.5〜2L前後+予備を目安にする
- 水だけでなく、塩分と糖質も一緒に補給する
- 行動食は1時間ごとに少しずつ食べるとバテにくい
夏山でバテる原因は3つある

水分不足
夏山では、思っている以上に汗をかきます。
体の水分が減ると、体温調節がうまくいかなくなり、疲れやすくなります。
ポイントは、喉が渇いてから飲むのではなく、歩きながら少しずつ飲むこと。
喉の渇きを感じた時点で、すでに水分が不足し始めていることもあります。

塩分不足
汗と一緒に、塩分も体から出ていきます。
私が昔やってしまった「水は残っているのにバテる」パターンは、まさにこれでした。
水だけでは、汗で失った塩分までは補いにくいです。
環境省の熱中症環境保健マニュアルでも、たくさん汗をかく場面では、スポーツドリンクや0.1〜0.2%程度の食塩水などによる塩分補給が紹介されています。

▼ 熱中症そのものの対策は、こちらの記事で詳しく紹介しています
エネルギー切れ
登山では、長時間歩き続けることで体のエネルギーもどんどん消費されます。いわゆる「シャリバテ」です。
お腹が空いてから食べるのでは、少し遅いこともあります。空腹を感じる前に、少しずつ行動食を入れておくとバテにくくなります。
バテる前に補給する。お腹が空く前に食べる。喉が渇く前に飲む。

夏山登山に必要な水分量の目安

「水は何リットル持てばいいの?」と悩んだら、この式を覚えておいてください。
必要な水分量の目安(ml)= 体重(kg)× 行動時間(h)× 5
国立登山研修所の高等学校登山指導者用テキスト(PDF)でも、必要な水分量の目安としてこの式が紹介されています。
例:体重60kgで5時間歩く場合
60kg × 5時間 × 5 = 1,500ml
体重60kgの人が5時間歩くなら、1.5Lくらいがひとつの目安になります。

水分量の目安表
| 体重 | 4時間の山行 | 5時間の山行 |
|---|---|---|
| 50kg | 約1.0L | 約1.25L |
| 60kg | 約1.2L | 約1.5L |
| 70kg | 約1.4L | 約1.75L |
この計算式で出る水分量は、あくまで目安です。
実際に必要な量は、気温、湿度、日差し、風、コースのきつさ、汗のかきやすさによって大きく変わります。
とくに真夏の低山や水場の少ないコースでは、計算で出た量に500mlほど余裕を持たせておくと安心です。
私も汗かきなので、夏はこの式より多めに持つようにしています。
4〜5時間の夏山なら、実際には1.5〜2L前後+予備くらいで考えると安心です。

4〜5時間の夏山なら、何をどれくらい持つ?

数字だけだとイメージしづらいので、実際の持ち物で見てみましょう。
持ち物の目安
| 種類 | 具体例 | 目安 |
|---|---|---|
| 水 | 水・麦茶など | 1L前後 |
| 塩分入り飲料 | スポーツドリンクなど | 500ml〜1L |
| 予備の水 | 水・粉末スポーツドリンク用 | 500ml |
| 甘い行動食 | ようかん、グミ、ラムネ、ジェル | 3〜4回分 |
| 腹持ち系 | おにぎり、パン、カロリーメイトなど | 1〜2回分 |
| 塩分系 | 塩分タブレット、干し梅、塩せんべい、柿の種 | 数回分 |
行動食は「100〜200kcal」と言われてもピンとこないですよね。私もそうです。
1回分の目安を表にすると、次のようなイメージです。
| 行動食 | 1回分の目安 |
|---|---|
| ミニようかん | 1本 |
| おにぎり | 半分〜1個 |
| カロリーメイト | 1〜2本 |
| グミ・ラムネ | 数粒〜ひとつかみ |
| ナッツ | ひとつかみ |
| 塩分タブレット | 1個 |
| 干し梅 | 1〜2個 |
| 柿の種 | 小袋1つ |
このくらいの量を、1時間ごとに少しずつ食べられるように用意しておくと安心です。
行動食は「量」より「回数」。一度にたくさんではなく、少しずつ何回も。

▼ 飲み物と行動食以外の装備は、こちらのチェックリストにまとめているので、あわせて確認してみてください
1時間ごとの補給例
ここがこの記事で一番具体的に伝えたいところです。
4〜5時間の山行を想定した補給モデルを作ってみました。

4〜5時間山行の補給モデル
水分は、1時間ごとの休憩時だけに飲むのではなく、歩きながら20〜30分ごとに数口ずつ飲むのが基本です。
下の表は「小休憩のタイミングで何を食べるか」の目安として見てください。飲み物は、休憩中だけでなく行動中にもこまめに口にするのがポイントです。
| タイミング | 飲むもの | 食べるもの |
|---|---|---|
| 出発前 | 水かスポーツドリンクを200mlほど | 朝食をしっかり食べておく |
| 1時間後 | 水を数口〜200mlほど | ミニようかん1本、グミ数粒、ラムネなど |
| 2時間後 | スポーツドリンクを数口〜200mlほど | おにぎり半分〜1個、パン半分など |
| 3時間後 | 水を数口〜200mlほど | 塩分タブレット+ナッツ、干し梅、柿の種など |
| 4時間後 | スポーツドリンク or 水 | カロリーメイト1〜2本、ジェル、ようかんなど |
| 下山後 | 水分をしっかり補給 | 食事で回復 |
4〜5時間の山行では、1時間ごとに小休憩を入れて「飲む・食べる」をセットにしておくと、補給のタイミングを逃しにくくなります。
行動食は、毎回たくさん食べる必要はありません。
ミニようかん1本、おにぎり半分、グミ数粒、塩分タブレット1個などを、少しずつ入れておくイメージです。
「まだお腹が空いていないから大丈夫」と思っているうちに、後半で急に足が重くなることもあります。
足が重くなる前に食べる。それが、夏山でバテにくく歩くためのコツです。

行動食は「甘いもの・しょっぱいもの・腹持ちするもの」で分ける

行動食選びに迷ったら、この3種類で考えると簡単です。
甘いもの
すぐに食べやすく、登りの途中でも口にしやすい行動食です。
- ミニようかん
- ラムネ
- グミ
- ジェル
- 飴
私の定番は片手で食べられるミニようかん。歩きながらでも食べやすく、夏でも溶けないのが気に入っています。

しょっぱいもの
夏山では汗で塩分も失われるため、しょっぱい行動食も用意しておくと安心です。
- 塩分タブレット
- 干し梅
- 塩せんべい
- 柿の種
- 味付きナッツ
甘いものばかり食べていると、途中で飽きて食べられなくなります。しょっぱいものを混ぜておくと、口の中がリセットされて後半も食が進みます。

腹持ちするもの
長めの休憩や、行動時間が長くなるときに食べたいものです。
- おにぎり
- パン
- カロリーメイト
- ソイジョイ
- ナッツ

飲み物は何を持てばいい?

日本スポーツ協会のスポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(PDF)では、運動時の水分補給として、0.1〜0.2%の食塩と糖質を含む飲料が効果的で、1時間以上の運動では4〜8%程度の糖質濃度がよいとされています。
つまり水だけでなく、スポーツドリンクのような塩分・糖質入りの飲み物を組み合わせるのが理にかなっています。
基本パターン
水1L+スポーツドリンク500ml〜1L
いちばんわかりやすい組み合わせです。迷ったらまずこれで。

暑い日・汗をかきやすい人
水1L+スポーツドリンク1L+予備500ml
汗をたくさんかく人や、真夏の低山では多めに持ちます。

▼ 汗対策は飲み物だけでなく服装も大事です。夏山の服装ガイドも参考にしてみてください
水場がある山
水1L+粉末スポーツドリンク+予備ボトル
水場で補給できる山なら、粉末スポーツドリンクが便利です。水をそのまま飲むだけでなく、必要に応じて塩分・糖質入りの飲み物にできます。私も夏の北岳など水場の豊富な山では、この組み合わせでザックを軽くしています。

やりがちな失敗
夏山の補給で、私自身もやってきた失敗を挙げておきます。
- 水を節約しすぎて飲まない
- 喉が渇いてから一気に飲む
- 「山頂で食べればいい」と思って、行動中に食べない
- 甘い行動食ばかりで飽きる
- 塩分補給を忘れる
- 冷たい飲み物だけで胃が疲れる
- 水場をあてにしすぎる
- 行動食をザックの奥に入れてしまい、取り出すのが面倒になる

特に伝えたいのは、「水は残っているのにバテる」ことがあるという点です。
私の初期の失敗も、行動食をザックの奥に入れたまま「出すのが面倒だから」と食べなかったことが原因のひとつでした。
今は行動食をウエストポーチに入れて、立ち止まらなくても食べられるようにしています。
まとめ|夏山は1時間ごとに「飲む・食べる」を習慣にする
夏山登山では、水分だけでなく、塩分と行動食も大切です。
4〜5時間の山行なら、飲み物は1.5〜2L前後を目安にしつつ、暑さや汗の量、体格、水場の有無に合わせて調整してください。
行動食は、1時間ごとに少しずつ食べるイメージで、ようかん、おにぎり、グミ、塩分タブレット、ナッツなどを組み合わせるとわかりやすいです。
夏山では、1時間ごとに「甘いもの・しょっぱいもの・水分」を少しずつ補給するのが、バテないためのコツです。

補給がうまくいくと、下山後の疲れ方が本当に変わります。
「今日はまだ歩けるな」と思えるくらい余力を残して下りてこられたら、それは補給が上手にできた証拠です。
次の夏山は、ミニようかんと塩分タブレットをポケットに入れて、こまめに飲んで、こまめに食べて。
バテにくい快適な山歩きを楽しんでください。
▼ これから夏山デビューという方は、こちらの準備ガイドから読むのがおすすめです






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