木曽駒ヶ岳クラシックルートを歩く|桂小場から1泊2日テント泊登山記

木曽駒ヶ岳クラシックルートを歩く|桂小場から1泊2日テント泊登山記のアイキャッチ。稜線の写真に、コマクサ・夕焼け・雲海・ライチョウの写真を配置 山の花

2日目|頂上山荘テント場の朝

テント撤収は「7時まで」

受付のときに言われていました。

テントの撤収は朝7時まで。

事前に調べたときは8時だと思っていたので、これは現地で知りました。

この時間を過ぎると1泊分が追加になってしまいます。

ただ、私はもともと日の出前に出るつもりだったので、問題はありませんでした。

3時すぎに起きて、朝食、撤収、パッキングまで済ませて、4時18分にテント場を出発しました。

夜明け前のテント場。テントの灯りと朝焼けが始まる地平線
出発前のテント場

伊那前岳|ご来光

宝剣山荘にザックをデポして、空身で伊那前岳へ。

伊那前岳から見た東の空のご来光。右手に南アルプスの稜線
東の空からご来光 右には南アルプス

振り返ると宝剣岳がオレンジに染まっていて、反対側には雲海が金色に光っています。

朝日を浴びてオレンジ色に染まる宝剣岳のモルゲンロート
振り返ると宝剣岳がモルゲンロート

甲斐駒や仙丈、北岳・間ノ岳・農鳥岳、富士山、塩見岳、悪沢岳、赤石岳、聖岳。

雲海の上に南アルプスオールスターが一望です。


濃ヶ池|神秘的な池とリフレクション

宝剣山荘へ戻ってザックを回収し、濃ヶ池方面へ下ります。

風のない濃ヶ池の水面に映り込む宝剣岳
濃ヶ池 波は多いですが宝剣岳のリフレ

風はありますが、水面に宝剣岳が映っていました。

ここは静かでした。千畳敷の賑わいが嘘のようです。

濃ヶ池から将棊頭山方面へ登り返します。

この登り返しがまた地味にきついのですが、道はよく整備されていました。

石を組んで整備された登山道と、木曽駒ヶ岳から宝剣岳の稜線
石を組んで整えられた道

遭難記念碑

登り返しの途中、大きな岩が並ぶ場所に出ました。

そこに、遭難記念碑がありました。

大正2年建立の遭難記念碑と背後の花崗岩の巨石
遭難記念碑
遭難記念碑に刻まれた文字
刻まれた文字

読める範囲を書き写します。

遭難記念碑

大正貳年八月廿六日 中箕輪尋常高等小學校長赤羽長重

君 為修學旅行 引率兒童登山

翌二拾七日 遭暴風雨 終死矣

大正2年8月26日、中箕輪尋常高等小学校の赤羽校長が、修学旅行で児童を引率して登った。

翌27日、暴風雨に遭い、亡くなった。

新田次郎の『聖職の碑』で描かれた事故です。

碑には「大正貳年十月一日」と刻まれていました。事故からわずか2か月後です。

遭難碑は、この事故を忘れないように建てられたものです。

私は以前「聖職の碑」を読んだことがあります。

「子どもたちを無事下山させる」この一心で激しい暴風雨の中、寄り添いながらこの道を実際に歩いていました。

現在の宝剣山荘がある場所からこの遭難碑がある場所まではアップダウンが多く、普通に歩くのも大変でした。

それを、台風が直撃するなかを子どもたちを連れて歩く。

その苦労は想像を絶します。実際に歩いてそう感じました。

次にこのルートを歩く人へ、アドバイスを一つだけ挙げるとしたら、

『聖職の碑』を読んでから来てください。

読んでいるかいないかで、この道の見え方が変わります。

胸にくるものがあると思います。

歩いてきた木曽駒ヶ岳から宝剣岳の稜線を振り返る
歩いてきた稜線を振り返る

西駒山荘、そして下山

7時47分、西駒山荘。昨日の朝ぶりです。

ここからは、ひたすら下ります。

下りながら、ずっと同じことを考えていました。

登山口の「安全登山」についての看板。避難小屋の掲示。100年前の石室。同級生が25年後に建てた碑。中学生が植えたコマクサ。刈られた笹。

これらはすべて、地域の人たちの「安全に登ってほしい」という思いがあるように感じます。

この道を守る、地域の人たちの働きに感謝しながら歩いていました。

10時56分、桂小場登山口。2日目の行動時間は6時間45分でした。


歩き終えて

2日間の合計は、距離29.5km、のぼり2,665m、行動時間21時間11分

正直、楽なルートではありません。

ただ、数字ほど絶望的でもなかったです。水場が多くて、休める場所が整っていたのが大きいと思います。

歩いた実感として、いくつか。

  • 一番きつかったのは胸突八丁。石の急登が延々と続きます。ここを越えれば森林限界です
  • 馬の背は日差しがきつい。日焼け止めは必須
  • 水は豊富。ぶどうの泉、野田場、西駒山荘の天命水。担ぐ量を減らせます(ただし涸れることもあるので事前確認を)
  • 千畳敷は1日目の午後に前倒しして正解でした。2日目が6時間45分で終わって、余裕をもって下山できました
  • テント場の夜は賑やか。静けさを求めるなら別の選択肢を

新しい登山靴・LOWAエクスプローラーGTは、グリップも防水も問題なし。

今回で2回目の使用ですが、途中で靴紐を締め直しただけで、あとは快適に歩けました。

岩の上に置いたLOWAエクスプローラーGT。ソールとロゴが見える
LOWAの足元。岩場でのグリップは文句なしでした

靴下は、直前にAmazonで買ったスマートウールのフルクッションソックス。

メリノウールの消臭効果はテント泊にうってつけ。買い替えのためぶっつけ本番で履きましたが、やっぱりめっちゃ良かったです。

ただ2日目の下りで、右足の甲が骨に当たる感じでちょこちょこ痛みました。

原因はまだ分かっていません。これは別の記事で書きます。

▶関連記事:スカルパ ZGトレック卒業レビュー|LOWAに買い替えた理由


1日目の夕焼け、2日目のご来光白いコマクサ千畳敷カールの花

個人的には95点、いや100点をあげてもいい山行でした。

そして何より、この道が地域の人たちに守られてきたことを、歩きながらずっと感じていました。

ロープウェイを使えば2時間で立てる山頂に、10時間かけて登る意味は何かと聞かれたら、私はこう答えます。

歩いてこないと、見えないものがあるからです。

馬の背の稜線、中央奥が木曽駒ヶ岳(将棊頭山と馬の背の間で撮影)
馬の背の稜線、中央奥が木曽駒ヶ岳 

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