10月は、一年でいちばん山が気持ちいい季節だと思っています。
暑さが落ち着いて、空気が澄んで、紅葉も始まります。
ただ、いざ計画を立てようとすると、意外と迷いませんか。
「今週末、どこなら紅葉が見られるんだろう」
山の名前は思いつくのに、その山が今どうなっているかまでは分かりません。
というのも10月の山は、月の初めと終わりで景色がまったく変わるからです。
去年の10月、私は6回山に行きました。
そのうちの3回を並べてみます。
10月12日、富士山の精進口。
紅葉が始まったところでした。

10月24日、妙高山。
歩き始めて1時間ほどのところで、登山道に霜柱が立っていました。

10月29日、武尊山。
雪が積もって、鎖場の鎖が凍っていました。

同じ年の、同じ10月です。
紅葉がはじまるところもあれば、雪が降るところもある。
10月は、「どの山に登るか」より「いつ登るか」を決めると、ぐっと選びやすくなります。
この記事では上旬・中旬・下旬に分けて、私が実際にその時期に歩いた山を紹介します。
結論|「いつ登るか」で決まる10月の山
| 時期 | 山の様子 | 狙いたい山 |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 高い山では紅葉本番 | 北アルプス・高標高の山 |
| 10月中旬 | 紅葉前線が徐々に下る | 富士山周辺・西日本など |
| 10月下旬 | 低山は紅葉、高山は冬 | 奥秩父・奥多摩・九州など |
この中で一番差が出るのは、10月下旬です。
低山は紅葉の本番なのに、高い山にはもう冬が来ているからです。
紅葉の時期は、その年の気温で1〜2週間ほど前後します。
行く前に、YAMAPやSNS、山小屋の最新情報を確認してください。
▶関連記事:【2026年版】日本アルプスの紅葉はいつ?🍁 見頃早わかりカレンダー&秋登山の注意点
10月上旬|高い山の紅葉本番
10月上旬に紅葉を見たいなら、まず高い山から探すのがおすすめです。
同じ山でも、標高によって色づき方が違うのがこの時期のおもしろさです。
涸沢|紅葉に染まる北アルプスのカール
2022年10月3日から4日、上高地から涸沢を往復しました。
梓川沿いは、まだほとんど緑です。

横尾を過ぎて本谷橋からは本格的な登り。
そして午後に涸沢へ到着しました。

カールが黄色とオレンジに染まっていました。
ナナカマドは実が真っ赤です。

テント場は、着いた時点でもうテントがびっしり。
夕方になると、そのテントがひとつずつ光り始めます。

同じ日に、上高地は緑で、涸沢は紅葉。
10月上旬に高い山をすすめる理由、それは「季節の移り変わりが楽しめる」からです。
石鎚山|朝駆けで見た日の出と雲海
2017年10月8日、暗いうちから石鎚山を登りました。
土小屋登山口から1時間ちょっとで山頂に到着。
ここで日の出を待っているのは、私だけではありません。
カメラマンが何人も三脚を立てて、スタンバイしています。
とにかく寒くて、みんなダウンを着ていました。

雲海の向こうから日が出て、天狗岳のまわりが真っ赤になりました。

紅葉です。朝日ではありません。

下山して土小屋まで戻ると、登山口のまわりも色づいていました。

10月8日の石鎚山は、上から下までよく染まっていました。
三ッ峠山|富士山が見えなかった日の雲海
2021年10月9日、三ッ峠山を歩きました。
三ッ峠は、富士山の展望で知られている山です。
ただ、この日はほとんど見えませんでした。
山荘の前で休んでいたときに、山頂だけが少し顔を出しただけです。

稜線へ上がると、下に雲が広がっています。
三ッ峠山の山頂は、標高1,786mです。

紅葉のほうは、まだこれからでした。
赤くなっていたのは上のほうの一部だけで、登り始めのあたりはまだ緑です。

展望の山に行って、展望のない日はあります。
そのかわりに何が見えるかは、行ってみないと分かりません💦
▶関連記事:三ツ峠山登山|初心者におすすめルートとアクセス・富士山絶景【ゆるハイク百名山】
10月中旬|山を下りはじめる紅葉前線
10月中旬になると、紅葉前線は少しずつ山を下りはじめます。
高いところでは色づきが進む一方、標高1,000m前後ではまだ緑の山もありました。
じつは10月の中で、いちばん読みにくいのがこの時期です。
「中旬だからこの標高」と決めつけず、直近の紅葉情報を見て選ぶのがおすすめです。
富士山・精進口|樹海を抜けて出会う紅葉の19.5km
2025年10月12日、富士山の精進口登山道を1合目から歩きました。
富士山の記事はたいてい「登頂」の話になりますが、この日は山頂へ行っていません。
そもそも10月は、山頂へ向かう登山道が閉まる時期です。
途中には「ここから山頂 通行止め」の看板が立っていました。

歩くのは、青木ヶ原樹海の中をひたすら登り、五合目まで行く道です。
登り始めの樹海のあたりは、苔と緑ばかりでした。

紅葉が出てきたのは、奥庭のあたりです。

溶岩の上に生えた低い木が、赤と黄色になっていました。
すぐ横に、富士山の黒い山肌が立っています。
下から登っていって、五合目あたりでようやく色がついている。
紅葉が「山の上から下りてくる」というのは、この日の歩き方がいちばん分かりやすいと思います。
距離はありますが、ずっと樹林の中なので、思ったよりはきつくありません。
倉岳山・高畑山|中央線でつなぐ低山縦走
2022年10月20日、中央線の鳥沢駅から登って、梁川駅に下りました。
この記事で唯一、駅から歩き出して駅に下りられる山です。
このルートのいいところは、車の回収を考えなくていいことです。

先に高畑山、それから倉岳山という順番でした。
高畑山が981.9m、倉岳山が990m。どちらも1,000mに届きません。
倉岳山は、山梨百名山に選ばれています。
正直に書いておくと、この日は紅葉していませんでした。
10月20日で、まわりはまだ緑です。
そのかわり富士山がよく見えました。

どちらも大月市の「秀麗富嶽十二景 九番山頂」で、山頂に立つと正面に富士山があります。
標高1,000m前後の紅葉は、10月20日ではまだ早い。
同じころに出かける予定があれば、頭のすみに置いておいてください。
歩いたのは4時間20分ほど。朝の電車で出て、明るいうちに帰れます。

10月下旬|低山の紅葉と、高い山の冬
10月下旬は、山によって季節がはっきり分かれます。
奥秩父や奥多摩の紅葉は、このあたりが本番です。
一方、同じ時期の妙高山では霜柱、武尊山では雪と凍結がありました。
下旬に高い山へ行くなら、装備が変わります。
▶関連記事:秋の登山で気をつけたいこと|夏山と何が変わる?
大菩薩嶺|奥秩父で楽しむ晩秋の紅葉
2023年10月22日、大菩薩嶺を歩きました。
登り始めてしばらくは樹林の中です。
この樹林が、黄色からオレンジ、赤までそろっていました。
空が青かったので、見上げるたびに足が止まります。

稜線へ出ると、今度は展望に変わりました。
眼下に大菩薩湖、その向こうに富士山。
反対を向くと、南アルプスまで見えています。

紅葉と富士山を両方見たいなら、10月下旬の大菩薩嶺はおすすめです。
しかも歩きやすい。ゆるハイクにはもってこいの山です。

▶関連記事:大菩薩嶺登山ガイド|初心者おすすめルートとアクセス・富士山絶景【ゆるハイク百名山】
九重山・黒岳|真っ赤に染まった九州の紅葉
2020年10月24日、九重連山の黒岳を周回しました。
朝、駐車場に着いた時点で車がずらりと並んでいます。
歩き出して1時間半ほどで、まわりが赤くなりました。

そこから午後まで、ずっと赤とオレンジの中を歩いています。
写真を見返すと、5時間近く同じような色ばかり撮っていました(笑)
紅葉ピークの日でした。

天狗岩、それから高塚山。黒岳の高いところは、この2つです。

ただ、のんびり歩ける山ではありませんでした。
下山は暗くなってからでした。
10月下旬に一日がかりの山を歩くなら、ヘッドライトはかならずザックに入れておいてください。
雲取山|奥多摩の紅葉テント泊 29.1km
2022年10月27日から28日、雲取山をテント泊で歩きました。
入ったのは丹波山村側の登山口です。
まだ薄暗い林道からのスタートでした。
1時間半ほど登ると、まわりが赤とオレンジになります。
途中では、木の間から富士山も見えました。

七ツ石山を越えると、稜線はカラマツが黄色くなっています。

テントを張ったのは、午後の早い時間でした。
翌朝、暗いうちに山頂へ向かいます。
雲海の上に富士山が浮かんでいて、その横から日が出てきました。

朝いちばんの山頂に、雲海と富士山と朝日がそろっていました。

この時間に山頂へ立てるのが、テント泊のいいところです。

この記事で紹介する中では、いちばん長い山行になります。
10月下旬の奥多摩は紅葉の時期ですが、泊まるとなると朝晩の冷え込みが変わってきます。
何を着るかは別の記事にまとめてあるので、そちらを見てください。
▶関連記事:9月登山の服装は何を着る?|3枚重ねても寒かった私が足す「1枚」
10月登山で気をつけたいこと
| 注意点 | 10月に変わること |
|---|---|
| 日没 | 夏よりかなり早くなる |
| 気温 | 朝晩は冬に近い冷え込みも |
| 登山道 | 高山では初雪・凍結の可能性 |
| 山小屋 | 営業終了する小屋が増える |
4つとも、夏なら気にしなくてよかったことばかりです。
10月に入ったら、いちど計画を見直してみてください。
ここでは表だけにしておきます。ひとつずつの中身は、下の記事にまとめました。
▶関連記事:秋の登山で気をつけたいこと|夏山と何が変わる?
まとめ|「いつ登るか」で選ぶ10月の山
| 時期 | 山 | 行動時間 | 距離 | のぼり |
|---|---|---|---|---|
| 10月上旬 | 涸沢(1泊2日) | 10時間38分 | 32.6km | 1,152m |
| 10月上旬 | 石鎚山 | 9時間18分 | 9.7km | 720m |
| 10月上旬 | 三ッ峠山 | 5時間36分 | 11.3km | 731m |
| 10月中旬 | 富士山・精進口 | 8時間26分 | 19.5km | 1,063m |
| 10月中旬 | 倉岳山・高畑山 | 4時間21分 | 11.8km | 1,053m |
| 10月下旬 | 大菩薩嶺 | 4時間57分 | 7.8km | 561m |
| 10月下旬 | 九重山・黒岳 | 11時間36分 | 11.5km | 1,127m |
| 10月下旬 | 雲取山(1泊2日) | 15時間31分 | 29.1km | 2,655m |
10月上旬は、高い山が紅葉の本番です。
中旬になると、色づく場所が少しずつ下りてきます。
下旬は低山の紅葉が本番になる一方で、高い山にはもう冬が来ています。

だから10月は、行く山を先に決めなくて大丈夫です。
まずはカレンダーを見て、行ける日を決めてしまいましょう。
山は、そのあとで選べます。
上旬なら高いところ、下旬なら低いところ。
それだけ頭に入れておけば、迷う時間はずいぶん短くなります。
10月の山選びの参考にしてください。
ひとつ前の月は、選び方の軸が変わります。


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