甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳の登山口、北沢峠。
マイカーでは入れないので、伊那市側から行くなら戸台パークで南アルプス林道バスに乗り換えます。
このバスが、少しクセがあります。
私がお盆に行ったときは、乗車券の発売も、バスの発車も、定刻より早まりました。
帰りのバスも、案内された時刻より10分早く出ています。
分かったことは、この2つです。
① 私が行ったお盆の朝は、列がなくなるまでバスが出ました。
並んでいる人が乗れるだけ、何台も出ます。
② 早いバスに乗りたいなら、場所取りです。
先に並んだ人から順に乗せていくので、並んだ順番が早いほど、早いバスに乗れます。
しかも戸台パークには、「バス乗車の列」と「乗車券購入の列」の2つがあります。
この記事では、戸台パークに着いてから北沢峠に立つまでの流れを、実際の時刻と写真で解説します。

戸台パーク〜北沢峠|全体像
まず全体の流れをみてください。
- マイカーで戸台パーク(伊那市長谷・仙流荘の隣)へ
- 駐車場に停める(5日間まで1,000円)
- 仙流荘の乗車券売場できっぷを買う
- 南アルプス林道バスに乗る(約50分)
- 北沢峠に到着(標高2,032m)
- 仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・長衛小屋へ、それぞれの道に分かれる
数字でまとめると、こうなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 駐車場 | 5日間まで1,000円(以降5日ごとに1,000円)/伊那市営 |
| バス運賃(大人) | 1,150円+手回り品220円(18L以上のザック等)=片道1,370円/往復2,740円 |
| 乗車券の有効期間 | 購入日から5日間 |
| 乗車時間 | 約50分(戸台パーク〜北沢峠) |
| 乗車券の支払い | 現金・クレジットカード・QRコード決済・電子マネー(駐車料金は現金のみ) |
| 北沢峠の標高 | 2,032m(現地の案内板より) |
| 運行期間(2026年) | 4月25日〜11月3日運行予定(北沢峠まで入るのは6月1日から) |
戸台パーク|伊那市側の玄関口
戸台パークは、伊那市長谷にある南アルプス林道バスの発着地です。
「山と渓流の宿 仙流荘」を含む敷地にあり、以前は仙流荘バス停と呼ばれていました。
北沢峠へはマイカー規制がかかっているので、自家用車で行くことはできません。
伊那市側から北沢峠に入る方法は、この林道バス一本だけです。
そして、山梨県側の広河原から北沢峠へは、いま通り抜けることができません。
広河原と北沢峠を結んでいた南アルプス市営バスは、令和元年10月12日の台風19号で林道が甚大な被害を受け、運休が続いています。
バスがないだけではありません。
広河原〜北沢峠の林道は、歩行を含めて全面通行止めです。
2026年8月の時点でも、復旧の目途は立っていません。
▶出典:広河原-野呂川出合-北沢峠(南アルプスNET|南アルプス市芦安山岳館)
つまり、北沢峠への一般的な道路アクセスは、長野県側の戸台パークから出る南アルプス林道バスだけです。
芦安や奈良田から入れるのは広河原まで、と覚えておいてください。

朝、戸台パーク駐車場から谷の奥を見ると、鋸岳がよく見えました。
まだ薄暗い空に、稜線が黒く浮かんでいます。
▶関連記事:鋸岳 日帰り登山|山梨百名山“四天王”の急登と岩場・富士川源流ルート
駐車場|5日間まで1,000円
戸台パーク駐車場は、バスのりばの東側にあります。
料金は5日間まで1,000円、以降は5日ごとに1,000円です。
1日いくらではないので、テント泊や縦走で数日停めても値段は変わりません。

収容台数は約600台と案内されていて、かなり広い駐車場です。
同じ場所から分杭峠行きのバスも出ているので、「南アルプス林道バス利用者駐車場」の表示を目印にしてください。
料金は出庫時に支払います。
支払い方法は現金のみなので、お気をつけください。
車中泊はできる?
私は前夜22時に戸台パークへ入って、車の中で仮眠しました。
夜10時でも駐車場に入れましたし、すでに何台も停まっていました。
ただし、公式サイトには車中泊の可否までは書かれていません。
あくまでマナーの範囲で、という前提になります。
トイレと自販機
戸台パークに着いて、最初に探すのがトイレだと思います。
トイレは、仙流荘に向かって右手の別棟にあります。
その前に自販機が1台あるので、いつでも飲み物が買えます。
バスに乗ってしまうと、トイレは北沢峠までありません。(乗車時間は約50分)
バスに乗る前にトイレは済ませておきましょう。
前夜10時の戸台パーク|バス乗車の列に場所取り
ここからが実体験です。
私が戸台パークに着いたのは、お盆の金曜、夜10時でした。
翌朝の始発バスに乗るため、前日入りして車中泊します。
着いてまずやったのが、場所取りでした。
戸台パークには、列が2つあります。
- バス乗車の列
- 乗車券購入の列
夜10時の時点で、バス乗車の列にはすでに荷物がぽつぽつと並んでいました。
私はここにペットボトルを置いて、13番目を確保しました。

一方、乗車券購入の列には、この時点で場所取りがありませんでした。
なので念のため4時30分に並ぼう、と決めて車に戻ります。
これで安心して仮眠できました。
そして翌朝4時25分。
乗車券購入の列に行ってみると、すでに場所取りが始まっていました。
私は20番目でした。

バス乗車の列には「ここに並んでください」と言わんばかりに、地面には矢印が書かれています。

5時11分の時点で、待っている登山者は50人以上いました。

バスは車庫の中にスタンバっていて、全員乗れるだけのバスが何台も車庫から出ます。
だから、この朝は並んだ人がみんな乗れていました。
ただ、列の後ろのほうだと、その分あとのバスになります。

乗車券|5時から発売開始
公式サイト(南アルプス林道バス)の案内では、乗車券の販売は「始発の約30分前から」となっています。
この日の始発は5時45分なので、5時15分から発売開始です。
しかし、実際にきっぷが売り出されたのは、5時ちょうどでした。
混雑のせいか、この日は15分早く乗車券が発売されました。


券売機はいろんな決済方法に対応しています。
| 支払い方法 | 使えるもの |
|---|---|
| 現金 | ○(現金専用機あり) |
| クレジットカード | VISA・JCB・AMEX など |
| QRコード決済 | PayPay・d払い・au PAY・楽天ペイ |
| 電子マネー | iD・Suica など |
券売機の画面には、南アルプス登山者協力金(1口500円)の案内も出ます。
任意なので、協力しない選択もできます。

手荷物は18L以上が有料
もうひとつ、券売場で確認しておきたいのが手荷物です。
18L以上のザックには、手回り品料金がかかります。
私が買ったきっぷには、「戸台P⇔北沢峠 手荷物付き ¥1370-」が2枚(往復分)ありました。
(下の写真は帰り分の1枚)

券売場のモニターには、こう案内が出ていました。
登山ザックなどの手荷物は、ひざ上に抱えて乗車いただきます
つまり、ザックはトランクに積めません。
膝の上に置きます。
「小荷物券」を買えば座席をもう1席分確保できる、という案内もありました。

始発バス|15分早い5時30分発
きっぷを買って、バス乗車の列に戻ります。
始発バスは、5時30分に出発しました。
定刻(5時45分)より、15分早い発車です。
そして、アナウンスはありませんでした。
私は写真を撮って回っていて、危うく乗り遅れるところでした。
戻ってきたら、自分のザックを置いた列はもう動き始めていて、ギリギリセーフ。
周辺散策はほどほどに、列で待機することをおすすめします(笑)

繰り返しになりますが、大事なところなのでもう一度。
始発の5時45分に並び始めても、乗れないことはありません。
しかし、5時30分に出た1便目には乗れません。
早いバスに乗れるかどうかは、前の晩と早朝の場所取りで決まります。
裏を返せば、「何台目のバスでも構わない」のなら、前の晩からの場所取りは必要ありません。
この日は、並べば乗れました。
前泊する時間がないときは、そう考えると気が楽です。
時系列でみる、お盆の朝
私が実際に動いた時刻です。
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 前夜22:00 | 戸台パーク着。バス乗車の列に場所取り(13番目)。車中泊 |
| 04:25 | 乗車券購入の列へ。すでに場所取りあり、20番目 |
| 05:00 | 乗車券の発売開始(公式では5:15) |
| 05:11 | 待っている登山者は50人以上 |
| 05:30 | 始発バス発車(定刻は5:45。アナウンスなし) |
| 06:15 | 北沢峠着(乗車約50分) |
「バス乗車の列」と「乗車券購入の列」の両方に並ぶ必要がある、というのがポイントです。
きっぷを買って乗車の列が後ろでも、乗ることは出来ます。
バス車内|膝の上のザックで50分
バスは林道をぐんぐん上がっていきます。
窓の外には、落石防護ネットのかかった白い岩壁が現れました。

ここで、座席の話をひとつ。
バスは左側に座ったほうが景色がいいです。
鋸岳や幕岩が見えます。
私は右側に座ってしまって、ほとんど見えませんでした。
選べるようであれば、左側をおすすめします。

そして、膝の上のザック。
50分間、これを抱えたままです。
ヘルメットやサンダルを外付けしていると、隣の人に当たりやすくなります。
乗る前に、外付けの荷物は中にしまっておくと快適です。
北沢峠|標高2,032mのバス停
北沢峠に着いたのは、6時15分ごろでした。
バスを降りた瞬間、肌寒いと感じました。
長袖シャツ1枚だと、羽織るものが欲しくなる気温です。
標高は2,032m。
麓との差が、降りた瞬間に体でわかります。

バス停の周りには、こんな施設があります。
| 施設 | 内容 |
|---|---|
| バス待合所 | 戸台パーク行きの待合所。ベンチに番号があり順番に座る |
| 公衆トイレ | 待合所の隣。木造で入口が3つ |
| 北沢峠こもれび山荘 | バス停すぐの山小屋 |

案内図には、主な所要時間が書かれています。
| 行き先 | 所要時間(案内図より) |
|---|---|
| 仙丈ヶ岳 | 約4時間30分 |
| 甲斐駒ヶ岳(東駒ヶ岳) | 約4時間30分 |
| 仙水峠 | 約1時間 |
| 栗沢山 | 約2時間 |
| 長衛小屋 | 徒歩約10分(下り) |

総合案内には、こんな注意書きもありました。
甲斐駒ヶ岳(東駒ヶ岳)を往復される場合、途中にトイレはありません
北沢峠を出たら、次のトイレは長衛小屋か仙水小屋です。
バスを降りたら、まずトイレを済ませておいてください。

ここから、それぞれの道へ
北沢峠からは、道が分かれます。
- 仙丈ヶ岳へ:トイレ脇の登山道へ
- 甲斐駒ヶ岳へ:仙水峠は長衛小屋方向へ下り、双児山はこもれび山荘の脇から登山道へ
- 長衛小屋(テント場)へ:バス停から樹林帯を10分ほど下る

長衛小屋へは、樹林帯の道をゆるやかに下っていきます。
朝の空気が冷たくて、木の根と苔が濡れていました。

テント場の料金や受付、水場、トイレ、混雑については別の記事にまとめます。
実際にここをベースに甲斐駒ヶ岳とアサヨ峰を歩いた記録は、こちらです。
▶関連記事:甲斐駒ヶ岳・アサヨ峰 テント泊登山記|北沢峠ベースで巡る山梨百名山98・99座目
帰りのバス|定刻より10分早く出発
帰りのバスのことも書いておきます。
北沢峠バス停は、行きに降りた場所と同じです。
木造の待合所があり、番号が貼られたベンチに順番に座ります。

北沢峠発の時刻表は、こうなっています。
| 北沢峠 発 | 歌宿 | 戸台パーク 着 |
|---|---|---|
| 7:30 ※ | 7:45 | 8:15 |
| 10:00 | 10:15 | 10:45 |
| 13:10 | 13:25 | 13:55 |
| 15:00 | 15:15 | 15:45 |
| 16:00 | 16:15 | 16:45 |
※ 7:30便は休日等と、7月10日〜10月12日の毎日運行(2026年)※公式サイトはこちら

私が乗ったのは13時10分の便でした。
正確に言うと、13時ちょうどに出ました。
係員の方が「13時10分です」と案内していたバスが、10分早く動き出しています。
このときは12時台にも臨時便が出ていました。
つまり、行きも帰りも定刻より早く出る、というのがこのバスの特徴です。
北沢峠から戸台パークまでは50分。
13時50分に戻ってきました。
売店は仙流荘の中、乗車券売場の右側にあります。
乗車券発売時から17時までの営業なので、下山後に寄れます。
土産物のほかに、山の手ぬぐいやクッカーまで置いてありました。
最終便は16時発です。
下山時刻が読めないときは、ひとつ前の便を目標に計画してください。
参考|2026年シーズンの時刻表
戸台パーク発(北沢峠方面)は、公式サイトでは次の時刻です。
| 戸台パーク 発 |
|---|
| 5:45 ※ / 6:30 ※ / 8:05 / 10:05 / 12:10 / 14:20 |
※ 5:45発と6:30発は運行日が異なります。5:45発が運行する日は、6:30発の運行はありません。運行日は公式の運行時刻カレンダー(PDF)で確認できます。
繰り返しますが、私が乗った8月15日の始発は5時30分に出ています。
繁忙期は増便もあり、時刻表どおりに動かないことがあります。
運行期間は2026年4月25日〜11月3日の予定で、北沢峠まで入るのは6月1日からです。
それより前の時期は歌宿までの運行になります。
最新の時刻表と運行状況は、必ず伊那市の公式サイトで確認してください。
戸台パーク〜北沢峠アクセスの注意点
最後に、私が実際に困ったこと、覚えておいてよかったことをまとめます。
| 注意点 | 中身 |
|---|---|
| 発売も発車も早まる | この日は発売5:00、始発5:30発、帰り13:00発。いずれも定刻より早い。アナウンスはない |
| 列は2種類 | 「バス乗車の列」と「乗車券購入の列」。両方に並ぶ |
| 場所取りは前夜から | お盆の金曜22時で13番目。翌4時25分にはきっぷの列も並んでいた |
| ザックは膝の上 | 18L以上は手回り品料金。ザック外付けは控える |
| 席は左側 | 鋸岳と幕岩が見える |
| 駐車料金は出庫時 | 現金払い。帰りの現金を残しておく |
| 帰りも早発 | 案内された13:10の便が13:00に発車。臨時便も出る |
| 北沢峠は寒い | 標高2,032m。降りた瞬間に羽織るものが欲しくなる |
| トイレは北沢峠で | 甲斐駒ヶ岳の往復ルートには途中にトイレがない |
| 運休の可能性 | 天候・道路状況で運休あり。前日に公式サイトを確認 |
まとめ|北沢峠のアクセスは、前の晩から始まっている
戸台パークから北沢峠までは、たった50分のバス移動です。
でも初めて行くと、駐車場も、きっぷの列も、バスの時刻も、少しずつ想像と違います。
私自身、公式サイトの時刻を見て「まだ余裕だな」と思っていたら、5時に発売が始まって、5時半にはバスが出ていきました。
一度この流れを知ってしまえば、難しいことは何もありません。
並べば乗れます。
早く乗りたいなら、2つの列に早く並ぶ。
これだけ覚えておけば、朝いちばんのバスで北沢峠に立てます。
そして北沢峠に着いたら、そこはもう標高2,032mです。
朝の冷たい空気の中を、仙丈ヶ岳へ、甲斐駒ヶ岳へ、それぞれの登山口に向かって歩き出してください。



コメント